
近年、若年女性の食生活において、脂質の過剰摂取やカルシウム鉄などのミネラル摂取不足が指摘されています。さらに「痩せ願望」からの過剰なダイエットも問題です。一方で、肌トラブルを自覚する人は増加しています。
肌状態は生活環境や健康、精神状態と密接な関係を持っています。中でも睡眠は、美肌を維持する上で重要な要素のひとつです。睡眠時間が7時間以下の人は、ニキビができる割合が高いことがわかっています。日本女子大学健康サポートセンターが学生向けに提示しているHPにおいても、睡眠不足が肌に悪い影響を与えていることが明示されています。
「肌周期」を整えて、美肌への第一歩は、十分に睡眠をとり心身ともに休息させること。十分な睡眠をとることで成長ホルモン(GH)が分泌され、「肌周期」の働きが促進されます。最低でも6~7時間の睡眠が推奨されています。
睡眠不足に大きく関わるのが、自律神経系です。自律神経系には交感神経系と副交感神経系があります。交感神経系は、活動時で、緊張、興奮、ストレスなどに置かれた状態の時に優位になります。一方、副交感神経系が優位になるのは、休息やリラックスしている状態の時です。睡眠時にリラックスしていると副交感神経系が働き、心拍数の減少や血圧の低下などが起こります。
しかし現代社会では、人間関係やさまざまな要因でストレス状況下に置かれることが多いです。そのため交感神経が優位で興奮状態になり、ストレスホルモンであるコルチゾール、アドレナリン、アンドロゲンが分泌されます。また活性酸素の増加、免疫力の抑制などの現象が見られ、恒常性が保たれなくなります。このような自律神経系の乱れが睡眠不足へとつながり、体に様々な悪影響としてあらわれます。
交感神経系が優位になるストレスは、肌のダメージ状態からの回復を遅らせます。外部からの刺激に対して過敏になり、かぶれやすくなったり、今までの化粧品が合わなくなったりすることもあります。また過剰にメラニンが生成され、シミができたり濃くなったりもします。
心身をととのえるバスタイム。スキンケアの視点からも、入浴時の温度は、高い温度ではなく40℃くらいの温度が保湿にはよいとされています。
一般的に、医薬品などの有効成分が人体に作用するメカニズムのことを「作用機序」といいます。保湿剤は、作用機序の観点から、「エモリエント」と「モイスチャライザー」に分類されています。